歌手、俳優の美輪明宏さんがみなさんの心を照らす、とっておきのメッセージと書をお贈りする『婦人公論』に好評連載中「美輪明宏のごきげんレッスン」。
11月号の書は「色」です

日本の色彩文化の豊かさを知る

私は、舞台に立つときや雑誌などの撮影の際、くすんだ色の服は着ません。明るくきれいな色を身につけると、まわりの皆さんの気分が上がりますし、本人にも運が向いてきます。

2021年末発売の『婦人公論』(12/28、1/4号)では、感染症で皆さんが沈んだ気持ちになっている時期でしたので、生命力の象徴である緑色のショールをまといました。

真っ黒な草や花を見かけないのは、黒は死の色だから。ですから、できれば黒一色のファッションは避けたいもの。もし黒を着る場合は、ベルトやスカーフなどで色を少し加えるか、色のきれいな宝石をつけるようにしましょう。そうすれば黒のマイナスの力は打ち消され、お洒落でシックな色に変わります。

お手本は日本の文化。たとえば、日本が誇る漆芸の世界では、黒い漆に金蒔絵や螺鈿(らでん)を施したものです。そうやって黒を寿ぎの色に変えたのです。