2020年に文化庁が1,500人に対して行った国民意識調査によると、茶道を経験したことがない人は全体の約6.5割だそうです。そんな茶道を、日本だけでなく世界にも広めようと活動しているのが、茶道家(裏千家教授)の竹田理絵さん。今回は、茶道にまつわる教養を紹介していただきました。竹田さんは、「茶室に掛けられる掛け軸には、禅の言葉『禅語』が書かれています」と言っていて――。
茶道に愛される禅語
茶室の床の間には、墨蹟(ぼくせき)(禅僧による筆跡)の掛け軸が掛けられています。さりげなく掛けてある掛け軸ですが、実は茶室の中で一番「格」が高い存在です。
千利休も「茶の湯において、掛物ほど大切な道具はない」と伝えています。
茶室に掛けられる掛け軸には、禅の言葉「禅語」が書かれていますが、よく知られている言葉はやはり「一期一会」でしょうか。
「一期」は一生、「一会」は一度の出会いという意味ですが、この言葉は利休の弟子である山上宗二(やまのうえそうじ) が最初に記したと言われています。
何事においても「人生で一度きり」と考えることで、私たちは目の前の相手に誠意を尽くすことができます。