斉藤さん「性犯罪は暗数が多い犯罪で、特に小児性犯罪は被害者がそれを性暴力と認識しづらいため公になっていないケースが多い」(写真提供:Photo AC)
「性的グルーミング」という言葉をご存じでしょうか。これについて、精神保健福祉士・社会福祉士の斉藤章佳さんは「子どもと信頼関係を築き、関係性を巧みに利用して性的な接触をする行為」と説明しています。今回は、2500人以上の性犯罪者の治療に関わってきた斉藤さんに、「小児性愛障害」や「子どもの性被害」について解説していただきました。斉藤さんは、「性犯罪は暗数が多い犯罪で、特に小児性犯罪は被害者がそれを性暴力と認識しづらいため公になっていないケースが多い」と言っていて――。

子どもの4人に1人が性被害にあっている

子どもの性被害の実態をデータからみていきましょう。

内閣府が2022年に行った若年層(16~24歳)の性暴力被害の実態に関するオンラインアンケートでは、回答者数6224人のうち、26.4%に相当する1644人が「被害にあった」と回答しています。

つまり4人に1人以上がなんらかの性暴力被害にあっていた、というわけです。

このデータでは、性暴力の種類別でも被害にあった割合が示されています。

性暴力被害の遭遇率<『子どもへの性加害 性的グルーミングとは何か』より>

言葉による性暴力被害を受けたと答えた人は17.8%ともっとも高く、次に身体接触を伴う性暴力被害が12.4%、インターネットやスマホなどの情報ツールを用いた性暴力被害が9.7%と続きます。性交を伴う性暴力被害は4.1%となっています。

また、性交を伴う性暴力被害の特徴としては、社会的立場が上位の者による加害が多いことが挙げられます。加害者として学校の関係者(教職員、先輩、同級生など)、交際相手(元交際相手も含む)やインターネット上で知り合った人を挙げるケースが多くなりました。