(写真提供◎青木さん以下すべて)
青木さやかさんの連載「50歳、おんな、今日のところは『……』として」――。青木さんが、50歳の今だからこそ綴れるエッセイは、母との関係についてふれた「大嫌いだった母が遺した、手紙の中身」、初めてがんに罹患していたことを明かしたエッセイ「突然のがん告知。1人で受け止めた私が、入院前に片づけた6つのこと」が話題になりました。
今回は「舞台稽古の日々をおくるものとして」です。

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舞台『欲望という名の電車』

舞台『欲望という名の電車』のお稽古の毎日。鄭 義信さん演出。沢尻エリカさん伊藤英明さん出演と話題の作品。

「欲望という名の電車」は舞台好きの人はご存知の方も多いのでは。アメリカ演劇を代表する劇作家テネシー・ウィリアムズ作。1947年にブロードウェイで初演。1951年にはヴィヴィアン・リーとマーロン・ブランドで映画化。

ニューオーリンズを舞台に、落ちぶれた名家出身の女性ブランチが隠していた過去を暴かれ、破滅するまでを描いている。同性愛、少年愛、レイプなどの内容も含まれている。

テネシー・ウィリアムズの作品は、自身の経験からくる自叙伝なキャラクターが多いそうで、彼に対すして最も大きな影響を与えたのは彼の姉ではと言われている。彼女は精神障害を患って精神病院の中で生涯のほとんどを過ごし、両親は彼女に対するロボトミー手術を許可した。テネシーはこのことで両親を許さなかったし、愛する姉を救えなかった自分自身の罪の意識にも苦しんだと言われている。

本連載から生まれた青木さんの著書『母』