厚生労働省が発表した令和3年度の医療施設調査によると、全国の医療施設は 180,396 施設で、前年に比べ 1,672 施設増加しているとのこと。20床以上の病床を有する「病院」は33 施設減少している一方で、19床以下の病床を有する「一般診療所」は 1,680 施設の増加となりました。「一般診療所」が増える中、小児科医として開業した松永正訓先生が、開業医の実態を赤裸々に明かします。今回は、医者が感じる患者との距離感についてご紹介します。クリニックが混雑していても、医師からの問いに簡潔に答えなければと必要以上に焦る必要はないとのことで――。
まるで、「ラーメン、ギョーザ、以上」みたいな会話
開業医の診察は3分診療だと揶揄されたりするが、それは慢性疾患の患者が安定した状態に入っているときだけであって、初診の患者が何か困ったことがあってクリニックにやってくれば、医者としてはできるだけ話を聞きたい。
だから、予診表に「鼻水・咳の感冒症状がある」に○が付いていても、ぼくは必ず「今日はどうしましたか?」と声かけする。
こういう質問の仕方をオープンクエスチョンという。一方、クローズドクエスチョンとは「熱はありますか?」「咳はありますか?」という形のことを指し、こうした質問に対する答えとしては「はい」「いいえ」になってしまう。
したがって医療の世界ではクローズドクエスチョンで患者に質問はしないというルールになっている。
ところが、である。ぼくが「今日はどうしましたか?」とオープンクエスチョンで尋ねても、「鼻水と……咳と……」と返事されることがあり、非常にがっかりする。これでは「ラーメンと……ギョーザと……以上で」と同じである。ぼくとしては、いつから、どういう症状があり、それによってどのくらい困っているのかを知りたい。