近年の預金利率を見れば、預貯金で資産を増やす期待はまったくできない(写真提供:Photo AC)
時間を味方につける「長期投資」は若いうちから始めるもので、50代からではもう遅いのではないか?と思う人が多いのが事実ですが、人生100年時代の昨今、むしろ生き方が定まってくる50代こそ投資適齢期だと、長期投資のプロフェッショナルである、さわかみ投信株式会社社長〈澤上龍氏〉は分析します。お金に上手に働いてもらいながら、生き生きと過ごすための一つの目安は「65歳でプラス3000万円」。初心者にもわかりやすく、長期投資の方法をまとめた一冊『50歳から成功する長期投資』からポイントを抜粋してお届けします。

インフレで預金は目減りしていく!

私は投資信託会社の代表なのに、よくこう言います。

「投資はしなくてもいいんです」

この言葉を聞くと、驚く人もいます。けれど本当に「しなくてもいい」と私は思っています。

たとえば、 「いずれは地方で農業をしながら暮らしたい」という人がいたとします。
そういう人にとって投資は必要でしょうか。

以前、鹿児島県を訪れた時、その地域の人々を見て「いい顔をしているなあ」と感じたのを覚えています。自然に囲まれ、野菜などを作り、食べることに基本的に困らないからだろうかと考えました。

そういう環境で暮らしているのならばお金はそんなになくてもいい。投資のことを考えるよりも、野菜の品種や効率的な栽培法などを勉強したほうがいいと思います。

ただ、自分はこれからどう生きたいのか、何をしたいのかを考えた時、たいていの人は「いくらくらいは必要だ」となるのではないでしょうか。