厚生労働省が公開している「患者調査」によると、精神疾患を持つ外来患者数は増加傾向にあるそう。そのようななか、「悩みが増えた時こそ、ネガティブな思考を生み出す原因を探ることが重要」と語るのは、難病・パーキンソン病と闘う韓国の精神分析医キム・ヘナム先生。今回は、キム先生のベストセラー『「大人」を解放する30歳からの心理学』から「批判の捉え方」を紹介します。
仕事への批判を、自分自身への非難と捉えるべからず
フランスの作家ラ・ロシュフコーは、「自分を欺く称賛よりも自分に役立つ叱責を受けたいと願うほどに賢明な人はほとんどいない」(『箴言集』武藤剛史訳、講談社)と言った。
いくら合理的で論理的なふりをしていても、人間はそれだけ称賛が好きなのであり、批判や非難には弱いのだ。
そのためどんなに的を射た指摘でも、批判されれば反射的に拒絶してしまう。
批判を受け入れるためには自らの過ちを認めることが必要なわけだが、その勇気を出すどころか、プライドが傷つき居たたまれなくなって、どこかに身を隠したくなるのが人間の本能である。
しかし、そんな中でもとりわけ批判に脆弱(ぜいじゃく)な人というのがいる。
彼らは仕事への批判を、自分への非難と捉えて憤り気落ちする。
その上、任された仕事で失敗し業務に支障が出ていても、早急な事態の収拾に努めるどころか、「批判を受けた」という事実自体に打ちひしがれる。
自分が行った「行為」と「自分自身」を切り離して考えられないのだ。