「顔を見た瞬間、『この人と結婚する!』と直感したのです。理由は自分でもよくわかりません」(写真提供:露の団姫さん)
落語家で僧侶の露の団姫さんは、結婚して一児をもうけたのち離婚届を提出しました。しかしその後の家族3人での生活も仲のよさは変わりなし。事実婚を決意するに至った「姓」の問題とはなんだったのでしょうか(構成:内山靖子)

出会った瞬間に「この人と結婚する!」

大神楽(だいかぐら)曲芸師の豊来家(ほうらいや)大治朗(本名・井村大二朗)と結婚したのは2011年、私が24歳のときでした。

出会いはその半年ほど前、名古屋にある大須演芸場で10日間の出番をいただいていた最中です。当時、入門5年の新人落語家だった私は、楽屋に泊まり込み、出番の間に掃除、洗濯、炊事と忙しく過ごしていました。

寄席の外の掃き掃除をしていると、その日から出番だった大治朗が大きな荷物を抱えて近づいてきて。顔を見た瞬間、「この人と結婚する!」と直感したのです。理由は自分でもよくわかりません。好みのタイプじゃなかったんですけどね。(笑)

それからの5日間、毎日、大治朗と一緒に掃除をしたり買い出しに行ったりしているうちに、まるで自分のかたわれのように感じられて。

不思議なことに、夫のほうも同じ心境だったようで、お互い「ずっと一緒にいたい」という気持ちが強くなり交際がスタートしました。すぐに結婚の話になったのですが、私たちには越えねばならぬハードルが2つあったのです。