NHK大河ドラマ『光る君へ』の舞台である平安時代の京都。そのゆかりの地をめぐるガイド本、『THE TALE OF GENJI AND KYOTO 日本語と英語で知る、めぐる紫式部の京都ガイド』(SUMIKO KAJIYAMA著、プレジデント社)の著者が、本には書ききれなかったエピソードや知られざる京都の魅力、『源氏物語』にまつわるあれこれを綴ります。
道長、行成、公任が息抜きに訪れた嵐山
大河ドラマ『光る君へ』で、藤原道長(柄本佑)の側近である藤原行成(渡辺大知)の出番が増えています。
まひろ(吉高由里子)が結婚した第25回では、蔵人頭(くろうどのとう)として、一条天皇(塩野瑛久)と左大臣・道長のあいだで右往左往していた行成ですが、今後、道長の信任を得て昇進。やがては権大納言まで上りつめます。また、「書の達人」としても知られています。
第23回「『光る君へ』紀行」では、行成ゆかりの地として、石清水八幡宮や大覚寺が紹介されました。
その大覚寺のある京都・嵐山は、(第7回でもふれたように)平安貴族たちの別荘地でした。行成や道長をはじめ、貴人たちが紅葉狩りや舟遊びを楽しむ場所だったのです。
行成の日記『権記』には、道長が、行成や公任(きんとう・ドラマでは町田啓太が演じています)らと連れ立って嵐山を訪れたことが記されています。多忙な日々のなか、親しい仲間と束の間の息抜きといったところでしょうか。その際に立ち寄ったのが大覚寺だったようです。