NHK大河ドラマシリーズや映画などで「日本史ブーム」がまだまだ続いています。しかし、歴史研究家の河合敦先生いわく「じつは教科書が改訂されるごとに、多くの歴史用語や人物が消滅したり、評価が逆転したりしている」そうで――。そこで今回は、河合先生が日本史の新説をまとめた著書『逆転した日本史~聖徳太子、坂本竜馬、鎖国が教科書から消える~』から「薩長史観」についてご紹介します。
薩長のおかげで江戸幕府が倒れ、日本は近代化できた
2018年は明治維新から150年だとして、講演会で維新の話をリクエストされることが非常に多かった。
でも、正確にいうと、この1868年という年が明治維新というわけではない。
維新というのは、幕府の崩壊から新政府の成立にいたる激動の時代、すなわち時間の帯(時期)である。
諸説あるが、ペリーの来航(1853年)から廃藩置県(1871年)、あるいは西南戦争(1877年)ぐらいまでを指すことが多い。
ただ、1868年が明治元年であり、新政府が五箇条の誓文(新政府の方針)を出し、戊辰戦争で日本(北海道を除く)を統一し、その拠点を江戸(東京)に移したことから、象徴的な年であることは確かだろう。