優しく握られたおむすびは、口の中でふんわりとほどける。(写真:『TAKASU TILE 自分をHAPPYにする暮らし方: 家づくり、畑仕事、日々の料理、おばあちゃんとの時間』より。以下すべて)
総務省が公表した「住民基本台帳人口移動報告」によると、2023年の東京都の転入超過数は6万8285人だったそう。このような状況のなか、愛知県額田郡幸田町出身の映像作家・高須亮佑さん(「高」は正しくは「はしごだか」)は、100年続く家業の瓦屋「高須製瓦」の屋号を引き継ぎ、自身のYouTubeチャンネル「TAKASU TILE」で田舎暮らしを発信しています。そこで今回は、高須さん初の著書『TAKASU TILE 自分をHAPPYにする暮らし方: 家づくり、畑仕事、日々の料理、おばあちゃんとの時間』から、一部を抜粋してお届けします。

おばあちゃんを美江子さんと呼ぶ理由

祖母の美江子さんが高須家(「高」は正しくは「はしごだか」)に嫁いできたのは23歳のとき。

実家はみかん農家で、高須家の裏山にある小さなみかん畑は、嫁入りするときに、美江子さんのお父さんが苗を数本植えたのが始まりだ。

家業の手伝いをしながら、24歳で父を産み、二男一女を育てあげた。

お姑のさくさんは厳しいところがある人だったと叔母さんたちから聞く。

美江子さんにさくさんのことを尋ねると、「丈夫いかったでねえ」と言う。

祖母のことを「美江子さん」と呼ぶようになったのは、ユーチューブに出てもらうようになってから。

それまでは普通に「おばあちゃん」だったが、世界に発信されるからには、みんなから名前で呼ばれるおばあちゃんが見たいなあと思って、「美江子さん」と呼ぶことにした。