コンサート会場
(写真:stock.adobe.com)
世間から「大丈夫?」と思われがちな生涯独身、フリーランス、40代の小林久乃さんが綴る“雑”で“脱力”系のゆるーいエッセイ。「人生、少しでもサボりたい」と常々考える小林さんの体験談の数々は、読んでいるうちに心も気持ちも軽くなるかもしれません。第36回は「ドリカムはおばさんの青春」です。

青春にはいつもドリカム

先日、代々木体育館で行われたドリカムのライブ『DREAMS COME TRUE 35th Anniversary ウラワン 2024/2025 supported』が運良く当選して、1人で出かけてきた。

ドリカムと出会ったのはいつだろうと思い返すと、確か中高生の頃。ど田舎の学校でも音楽に敏感な同級生がいて、

「ヤバいバンドがいる」

そうアルバムをクラスに持ってきて、皆で聴いたことを思い出す。伸びやかな声に、耳に溶け込むようなサウンド。何よりも私たちの心の声を言語化して、歌で代弁してくれているような歌詞。女子生徒たちは一気に夢中になった。娯楽の少なかった時代だ。私たちはヒット曲に触発されて、当時はCDを買い、カラオケで歌い、泣いた。

ドリカムの『未来予想図Ⅱ』を真似て、彼氏に「角を曲がるときにブレーキランプを5回踏んでくれ」とせがんだ。その恋が終われば友人に『サンキュ.』を歌ってくれと頼み、案の定泣いた。『あなたにサラダ』を聞いて歌いながら、大量のサラダを作って、母親に怒られた。他にもネタは尽きないけれど、とにかくドリカムはいつも自分の味方でいてくれる音楽の聖母マリアだった。

あれから35年が経過した。彼らのライブには何度か出かけているが、今回がコロナ禍前の2019年以来、5年ぶりの参戦だ。