(写真提供:Photo AC)

大石静さんが脚本を手掛け、『源氏物語』の作者・紫式部(演:吉高由里子さん)の生涯を描くNHK大河ドラマ『光る君へ』(総合、日曜午後8時ほか)。ドラマの放映をきっかけとして、平安時代にあらためて注目が集まっています。そこで今回は皇子を出産する前の彰子について、新刊『女たちの平安後期』をもとに、日本史学者の榎村寛之さんに解説をしてもらいました。

『栄花物語』に記された彰子

『栄花物語』は、宇多天皇の即位に始まるひらがなで書かれた歴史書である。

正編と続編からなり、正編は紫式部の同僚だった赤染衛門により、1030年頃に書かれたという。

この本では、長保元年(999)に数え12歳で入内したころの道長の娘、女御藤原彰子を、髪は背丈より五、六寸(15センチ余り)長く、大変美しかったとしており、また、20歳頃の描写として、髪が長いとともに、小柄で色白、頬は赤かったとしている。

その幼げで小柄な姫が、それから70年近く宮廷の中枢に座りつづけることになる。