井上咲楽
(撮影:荻原大志/写真提供:徳間書店)
『新婚さんいらっしゃい!』のアシスタントMCを務めるなど、さまざまなテレビ番組で活躍するタレント・井上咲楽さん。「笑顔で明るくいつも元気」というイメージを持たれることもある井上さんですが、その半生は決して明るいだけではなかったそう。今回は、井上さんが抱えてきた不安や悩み、生きづらさなどについて赤裸々に綴った初のエッセイ『じんせい手帖』(徳間書店)から、一部を抜粋してお届けします。

厳しい躾と静かで暗い夜の森

両親は礼儀と食事に厳しい人だった。長女の私には特に厳しくしていたように思う。

お箸の持ち方、いただきますとごちそうさまをしっかり口に出して言うこと、肘をついて食べないこと、お茶碗は持ち上げて食べること、口に物が入ったまま開けないこと、他の人が話している時に割り込んで話さないこと。

基本的なマナーと呼ばれることができていない場面では何度でも注意された。

それでも直らなかったり反抗したりすると、家の外へ出されていた。とても静かで暗い森に放り出されることが、小学生の私にとっては怖くて怖くてたまらなかった。

それでも、さまざまな教育方法がある中で、子どもの頃に厳しく躾けてもらったことを今ではとても感謝している。