1月5日から、2025年NHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』の放送がスタートしました。横浜流星さん演じる本作の主人公は、編集者や出版人として江戸の出版業界を支えた“蔦重”こと蔦屋重三郎です。重三郎とは、いったいどんな人物なのでしょうか?今回は、書籍『べらぼうに面白い 蔦屋重三郎』をもとに、重三郎マニアの作家・ツタヤピロコさんに解説をしていただきました。
蔦屋重三郎が初めて自分でつくった本
『吉原細見』については、重三郎はあくまで編集者の一人でした。中身を考えてはいましたが、版元は鱗形屋孫兵衛です。重三郎は下請けと販売をしていたにすぎません。
蔦屋重三郎が初めて自分でつくって販売した本は『一目千本(ひとめせんぼん)』という本でした。1774年、安永3年のことになります。これも吉原遊女のガイドブックなのですが、細見とはちょっと雰囲気が違います。
『一目千本』のページにかかれているものは、きれいなお花です。木蓮(もくれん)、山葵(わさび)、百合、菊、牡丹、水仙、桔梗(ききょう)と、様々なお花の絵が紙に大きく描かれています。
そして、その横に**屋、**と何やら一言書き添えてあるのです。