内閣府が公表する「令和6年版 高齢社会白書」によると、令和19年には国民の3人に1人が65歳以上になると見込まれているそうです。超高齢化社会の中、92歳の評論家・樋口恵子さんは「ある時期から嫌な気分を引きずって生きるなんて、なんともったいないことだろうと考えるようになりました」と語っています。そこで今回は、92歳の聖心会シスター・鈴木秀子さんとの共著『なにがあっても、まぁいいか』より、毎日を機嫌よく生きるヒントの一部を、お二人の対談形式でお送りします。
「いつも機嫌よくいる」ことは高齢者にできる社会貢献
鈴木 私は「いつも機嫌よくいる」ということが高齢者にできる社会貢献なのではないかと思うのです。不機嫌でいると周囲の人まで暗い気持ちになります。これは立派なハラスメント。
一方、たとえ嫌なことが起こっても、「まぁいいか」「なるようになる」「悩んだり落ち込んだりしても埒が明かない」と達観して静かに笑っている高齢者の姿を見れば、若い世代の人達は心癒され、こういう境地にたどり着けるなら年を取るのも悪くはないと安心して生きていくことができるでしょう。
樋口 上機嫌でいるためには忘却力が必要ですね。若い頃は人から嫌味を言われたり、言い負かされたりすると「恨み節の樋口」と化しておりましたが、ある時期から嫌な気分を引きずって生きるなんて、なんともったいないことだろうと考えるようになりました。
そこで恨みつらみを棚上げすることにしたのです。そのうえで楽し気に暮らすと決めております。正直なことを申しますと、足腰は痛いし、不愉快だなと思うような出来事も数限りなくありますけれど、楽しくなくても楽し気に振る舞っているのです。