(写真提供:Photo AC)
ひざや股関節、腰……年齢を重ねるとともに、身体の節々が痛むようになってきたという方もいるのではないでしょうか。YouTubeの登録者数約20万人の整形外科医・歌島大輔先生は「<軟骨のすり減り>の平均診断年齢は50歳。関節の曲がり角は50歳から」と指摘しています。そこで今回は、歌島先生の著書『ひざ痛と股関節痛 自力でできるリセット法』より一部を抜粋してご紹介します。

サプリメントでは根本的な対策にならない

関節の痛みに効くとして、「グルコサミン」「コンドロイチン」「コラーゲン」などの言葉をテレビコマーシャルや新聞広告でよく見聞きしますね? そういう成分を含んだサプリメントは薬品会社からたくさん発売されています。もしかすると、あなたもいろいろなサプリメントを試してこられたかもしれません。

けれども、変形性関節症の患者さんにグルコサミンのサプリメントがどう影響するかを調べたところ、効果には乏しかったという研究論文があります。

プラセボ(偽薬<ぎやく>)と比較して、グルコサミン、コンドロイチンは関節痛を軽減させず、関節腔(かんせつくう)(関節の空間:狭くなると痛みが出て、動きが悪くなる)が狭くなることにも影響を与えないことが報告されているのです(*1)。

そもそもサプリメントには、明確な定義がありません。サプリメントは特定の成分が濃縮されたもので、錠剤のような形をしているものもありますが、「薬」ではありません。いわゆる「健康食品」の一つにすぎないのです。

ですから、大きな効果を期待しないでください。もしも、その成分が本当に効くのであれば、「医薬品」になっているはずです。医薬品ではなくサプリメントとして発売されているのは、その成分が本当に効くという研究論文がない(=エビデンスレベルが高くない)からです。

残念ながら、今のところサプリメントで軟骨を保護できたというエビデンスはありません。「軟骨成分を補うことで、軟骨のすり減りを防げる」などと謳(うた)っているものは、「ニセ医学」です。軟骨成分を口から摂取したからといって、軟骨のすり減りは防げません。