ひざや股関節、腰……年齢を重ねるとともに、身体の節々が痛むようになってきたという方もいるのではないでしょうか。YouTubeの登録者数約20万人の整形外科医・歌島大輔先生は「<軟骨のすり減り>の平均診断年齢は50歳。関節の曲がり角は50歳から」と指摘しています。そこで今回は、歌島先生の著書『ひざ痛と股関節痛 自力でできるリセット法』より一部を抜粋してご紹介します。
Q.整形外科で「治った」経験がないのですが……
私自身が整形外科医ですので同業者のことをあれこれ言うのはどうかと思いますが、「ちょっと、どうなのかな」と思ってしまう整形外科医が実際のところ少なくありません。
よくいる整形外科医は、3つのタイプに分かれます。
1つ目は、レントゲンで骨に異常が見られなければ、湿布を出して終わり、という医師。昔ながらの整形外科医に多いタイプです。湿布は気休め程度に「効いたかなあ」という程度で、根本的な「治療」には全然なりません。
私の所にも「肩に鋭い痛みが走っているのに、『どこも悪くないですよ』と言われたんです。こんなに痛いのに、どこも悪くないはずがないっ! と腹が立ちました」という患者さんがよくいらっしゃいます。
ただ、その医師の対応が間違っているとは言いきれません。湿布を出すだけの医師の本音は「放っておいても良くなる可能性が高い」ということです。人間には自己治癒力があるので、その判断は多くの場合、正しいのです。
問題は、その説明が不足している医師が多いことです。
「レントゲンで異常はないし、診察しても特に強い炎症などは起こっていません。痛みを伴う動作を避けるなどの最小限の対応で、自己治癒力によって痛みが改善していく可能性があるので、2週間ぐらい経過をみてみませんか? それでも改善しない場合は、より精密な検査をするか、薬や注射、リハビリなどを相談していきましょう」
と言えば患者さんも納得するのに、その一言が足りません。