(写真提供:Photo AC)
SNSやメディア上で、日々多くの言い合いや論争が繰り広げられる現代。「自分と異なる意見を持つ相手を『敵』と認定し、罵りあうだけでは何も解決しない。大事なのは『立場を超えて協力しあう視点をいかに共有するか?』という<メタ正義感覚>だ」と語るのは、経営コンサルタント・思想家の倉本圭造さんです。今回は、倉本さんの著書『論破という病-「分断の時代」の日本人の使命』より一部引用、再編集してお届けします。

悪夢の民主党政権? 地獄の自民党政権?

20世紀型の「論破という病」に毒されていると、現状認識自体が「自分たち善人と悪のあいつらとのたたかい」になってしまって、複雑な現象を過剰に単純化した二項対立でしか理解できなくなってしまいます。

例えば、バブル崩壊後の日本はアメリカやイギリスのような二大政党制が民主主義のあるべき姿だと思い込んで、なんとかそういう形になるように動いてきたので、どちらの支持者かによって、そもそも現状認識自体が真っ二つになってしまう傾向があります。

結果として、次に述べるような二つの交わらない世界観が、SNSの中では虚しく分離したまま空中を漂っています。SNSにおける政治議論がお好きな人なら、必ず見かけたことがあるでしょうし、どちらか片方の世界観に熱中していた経験がある方もいるかもしれません。

2022年以後、世界的インフレや円安などの変化の時代以後の評価はまだ定まっていない部分があるので、それ以前の、「アベノミクスに賛成か反対か」といった牧歌的な二項対立が続いていた時代の話を考えてみます。