家族の絆が強いイタリア人(『イタリア流。』より/撮影:中山久美子)

歴史ある街並みや数々の芸術、食が豊かで、陽気なアモーレの国イタリア。イタリア人はなぜ、あんなに生きていることを謳歌できるのでしょうか?イタリア在住20年、現地で通訳・コーディネーターとして活躍する中山久美子さんによると、彼らは本当にマイペースで、移住した最初の数年は驚きととまどいの連続だったそう。そんな世界一楽しそうに生きているイタリア人の根底にある「流儀」を明かす『イタリア流。』から一部を抜粋して紹介します。

家族は心のよりどころ

イタリア人は家族の絆が強い。愛情が底なしに強い。

イタリア人と結婚し、ここで家庭を築いた私ですが、特に最初の数年は驚きととまどいの連続でした。

付き合っていた時はもちろん、今でも仕事の日のランチ後に必ず電話をかけてくる夫。すごい愛されてるのね!と思われるかもしれませんが、これがイタリアン・スタンダード。

毎日のように電話をしてくるのは、うちの夫だけではありません。家族間の電話に関するエピソードは尽きませんが、筆頭はやはり姑です。

私にも電話をかけてくるようになったのは妊婦になった時。田舎に引っ越したばかりで、また初めての妊娠だったこともあり、姑からの電話を心強く感じていました。

しかし、出産してからは毎日「今日ウンチはしたか」「授乳は何回したのか」、検診の日も必ず覚えていて、身長体重はもちろんすべてを語るまで電話が終わりません。

ただ知りたいだけとわかっていても、監視されているようでちょっとげんなり。それだけでなく、「先生も可愛いって言ってるでしょ」「うちの孫は世界一可愛い」と、実の母である私も恥ずかしくなるほどの溺愛ぶりです。

家に来るのは週に1回くらいでしたが、それは家が遠いから。そうでなければ毎日やってくるのは必至で、近くに住んでなくてよかった!と思ったものでした。