「忙しい自慢をしてしまう」「自分の正義を押し付ける」「教えたがる」「長々と言い訳をする」など、認めてもらいたいという人ならだれでもある欲求が高じると、頭が悪い人に見えてしまう危険性があります。ベストセラー『頭がいい人、悪い人の話し方』の著者・樋口裕一さんが、考察するそのような言動をとる理由、そして知的習慣が身につくヒントを綴った著書『頭のいい人が人前でやらないこと』より、一部を抜粋して紹介します。
長々と言い訳をする
現代人にとって、言い訳そのものは決して否定するべきものではない。人間は必ず失敗する。
人間であるからには失敗するように宿命づけられている。失敗は防ぐことはできない。では失敗したらどうするか。言うまでもなく、上手に言い訳をすることだ。
失敗したとき、どう言い訳するかによって、失敗が二度と立ち上がれないほどの痛手となる場合もある。ともあれ許してもらえることもある。
逆に上手に言い訳することによって新たなチャンスを得ることもある。たとえば、大事な会合に遅刻したとする。
そんなとき、「もっと大事な用を済ませていたので遅くなった」、「危険が起こりそうなので、それを食い止めるために必死の努力をしていたために遅れた」、「この日のために万全の準備をしていたために遅れた」などという方向で言い訳をするのが正攻法だ。
ところが、説得力のない言い訳をして、あきれさせる人が多い。
最も多いのは、「寝坊しました」「忘れていました」という言い訳だ。もちろん、そのような言い訳は怠慢や意欲のなさを示すが、一度や二度であれば、特に愚かと言われるわけではない。
あまりにありふれた理由であるだけに、特に問題にはされないだろう。だが、それが続くと、愚かな遅刻常習犯という烙印を押されることになる。
中には、もっと愚かな言い訳をする人がいる。多いのは、長々と言い訳をする人だ。
「携帯電話の置き場所がわからなくなって探しているうちに電車1本のがしてしまいました」で済むところを、「昨日の夜、接待でA社の方と飲んだんですが、どうしても先方の申し出を断れなくて、いつもよりたくさん飲んでしまって、帰ったのが遅くて、しかも酔っていたもので……」などと長々と説明してしまう。