100年を超える歴史を持ちながら常に進化し続ける「タカラヅカ」。そのなかで各組の生徒たちをまとめ、引っ張っていく存在が「組長」。史上最年少で月組の組長を務めた越乃リュウさんが、宝塚時代の思い出や学び、日常を綴ります。第96回は「谷正純先生」のお話です。
(写真提供:越乃さん 以下すべて)
(写真提供:越乃さん 以下すべて)
谷正純先生の早すぎる旅立ち
暖かい春の日に、突然その知らせは届きました。
宝塚歌劇団の演出家、谷正純先生が旅立たれたという同期からの連絡に、言葉を失いました。
長きにわたり、数々の名作を手掛けられた谷先生。
たくさんの作品にご一緒させていただきました。
厳しくも愛のある先生でした。
「舞台は1人では作れない」
「自分の事だけ考えるな」
「周りをよく見ろ」
舞台に立つ基本を叩き込まれた記憶があります。
谷先生と初めてご一緒させていただいたのは『エールの残照』という作品でした。
トップスターは天海祐希さんでした。
下級生だった私はまだ役などありませんでした。
「そんな時は、人がダメ出しされているのを聞いて自分に落とし込むんだ!お前たちはやる事がいっぱいあるぞ!」
人がダメ出しされているのを聞いて自分に落とし込む。
そんなやる事がいっぱいある時期が、私は果てしなく長く続きました。
『エールの残照』
『CAN-CAN』
『EL DORADO』
『なみだ橋 えがお橋』
『ジャワの踊り子』
『JAZZYな妖精たち』
『ジプシー男爵』
と、たくさんの作品でご一緒させていただきました。