(『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』/(c)NHK)
江戸のメディア王として、日本のメディア産業、ポップカルチャーの礎を築いた“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の生涯を描く大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』。4月20日放送の第16回「さらば源内、見立は蓬莱」では蔦重の背中を押してきた江戸の奇才・平賀源内(安田顕)が殺人の疑いをかけられ、獄死。蔦重は、源内から授けられた「耕書堂」という名前を世に広めることを改めて決意した。物語の転機となった第16回について、チーフ演出の大原拓さんに聞いた。(取材・文:婦人公論.jp編集部)

「とにかく適当に」

平賀源内は本草学を学び、戯作も書けば鉱山経営にも乗り出した多才な人物。今作では、蔦重が進む道を助言したり、老中・田沼意次(渡辺謙)の知恵袋として活躍したりと序盤の物語を動かす存在だった。

軽妙洒脱、天才的なひらめきを見せる一方で、早口で独特なクセのある人物を安田が好演した。

「安田さんには、『とにかく源内は早口で適当であってください』とオーダーしました。適当であるということが全て。いいかげんという部分と適している・当たっているという両面です。源内は天才的なイメージがあるので、(脚本の)森下(佳子)さんと話して早口にしました。1人だけリズム感が違う状態を作ることで、周りのキャラクターとの差が作れると考えました」