(写真提供:Photo AC)
「働き方改革」が広がり、労働環境はここ数年で急速に変化しました。そのようななか、「今、管理職として働くということが、『罰ゲーム』と化してきている」と話すのは、パーソル総合研究所 主席研究員/執行役員シンクタンク本部長の小林祐児さん。そこで今回は、日本の管理職の異常な「罰ゲーム化」をデータで示し、解決策を提案する小林さんの著書『罰ゲーム化する管理職 バグだらけの職場の修正法』より一部を抜粋・再編集してお届けします。

管理職の死亡率の逆転現象

2019年、英国の疫学・公衆衛生専門誌「Journal of Epidemiology and Community Health」に、衝撃的な研究が発表されました。その内容は、「日本では一般職よりも管理職のほうが死亡率が高い」というものです(※1)。

この研究は、日本・韓国・欧州8カ国(フィンランド、デンマーク、イングランド/ウェールズ、フランス、スイス、イタリア、エストニア、リトアニア)の過去25年間の変化について国際共同研究をしたものです。日本からは東京大学の研究者が参加しています。

この研究では、欧米では一般的に管理職や専門職の死亡率がその他の職種よりも低いのに対し、日本においては1990年代後半に管理職男性の死亡率が上昇したことが報告されています(※2)(下図表)。

<『罰ゲーム化する管理職 バグだらけの職場の修正法』より>

普通に考えれば、管理職のほうが、健康に割けるリソースが多くなりそうです。経済的な余裕があるほど、ジムに行ったり健康的な食事を摂ることができそうですし、社会的地位が高いほうが、健康への意識も高くなりそうです。

しかし、日本は死亡率という点でその関係が逆であることが示されたのです。