(写真提供:Photo AC)
近年、『ゴジラ-1.0』や『君たちはどう生きるか』など、日本映画が世界的な注目を集めています。そうした状況を受けて、「日本映画界では世界を見据えた新しい道が切り開かれようとしている」と語るのは、映画ジャーナリストの和田隆さんです。今回は和田さんの著書『映画ビジネス』から一部を抜粋しお届けします。

映画の生みの親は監督か、プロデューサーか

まず、映画がどのように作られていくのか、製作・撮影の現場に足を踏み入れながら解説していきます。

映画製作の企画はそもそも誰が立てるのかというと、それは基本的にプロデューサーです。もちろん、企画開発者が別にいたり、監督のアイデア(構想)や撮りたいイメージが基になって企画がスタートするケースもありますが、商業映画の多くはプロデューサーが企画立案し、開発(ディベロップメント)します。

そして、製作のために資金調達し、監督、脚本家、その他スタッフ、出演者を決めます。さらに配給と宣伝、二次使用から、製作費の回収、利益が出た場合の出資者への配当など、1本の映画の責任者であり、“生みの親”とも言えるのがプロデューサーなのです。

なお、これから記述する映画産業における「製作」とは企画開発し、資金集めから利益を上げるまでのビジネスとしての全体、「制作」とはキャストやスタッフを決めて、作品を作り上げるまでのことを指します。プロデューサーは大きく分けると次のようになります。