(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)
「『年を取れば誰でも目は衰える』という考えは間違いです」と話すのは、回生眼科院長の山口康三先生。先生いわく、「目の病気も、れっきとした生活習慣病。食事の偏りや運動不足の影響は、体の一部である目にも及ぶ」のだそうで――。そこで今回は、山口先生の著書『緑内障・白内障は血流の改善でよくなる 黄斑変性・糖尿病網膜症・ドライアイにも効果』より一部を抜粋し、お届けします。

目を健康にするカギは「血流」をよくすること

目のしくみからわかるように、目の健康を守るためには、目だけ診ていても治療はできません。目を本当に健康にするには、全身の状態を整えることが不可欠です。

目と全身の健康状態を高めるうえで、カギを握っているのは「血流」です。

心臓から出た血液は動脈を通って全身を巡り、静脈を通って心臓に戻ります。血液は体を巡る間に、各細胞に酸素と栄養を届け、細胞の新陳代謝で生じた老廃物や毒素を回収して、解毒・排泄する肝臓や腎臓などに運びます。

血液循環がよければ、老廃物などが処理されたクリーンな体内環境のなかで、細胞は十分な酸素と栄養を得て正常に働くことができます。目も健康を保つことができます。

反対に、血液がドロドロしていて血液循環が悪くなると、目の血流も悪くなり、視力の低下をはじめ、さまざまな異常が起こります。

「見る」という高度な機能を保つには、多くの栄養と酸素を使うため、目は体内の器官のなかで、とりわけ多くの血液を必要とします。重量あたりで換算すると、脳の血流量の約50ml/100g/分(※)に対して、網膜の血流量は約800ml/100g/分にも達するとされています。つまり、網膜の血流量は脳に比べて約16倍も多いということになります。

目には無数の細い毛細血管が走り、血液を巡らせています。血液が細い血管をスムーズに通り、目のすみずみまで酸素や栄養を運ぶことで、目は正常に機能を果たすことができます。血流が悪くなれば、目の細胞は栄養不足、酸素不足に陥って疲弊し、病気にかかりやすくなり、視力も低下するのです。

(※)約50ml/100g/分は、1分間に100gに対して血液が50ml流れるという意味。