厚生労働省の「令和5年簡易生命表の概況」によると、2023年の日本人の平均寿命は男性が81.09年、女性が87.14年だったそうです。そのようななか、脳卒中リハビリのエキスパートである、ねりま健育会病院 病院長・酒向正春先生は「本当にやりたいことができる人生100年時代を送る身体づくりが必要」と話します。そこで今回は、酒向先生の著書『筋肉革命95 何歳からでも実現できる95歳で当たり前に歩いて楽しむ人生を』より一部引用、再編集してお届けします。
新しく学習することで脳活動を増やす
認知機能の低下を予防するためには、体を使う=筋力と体力を向上させる筋肉強化だけでなく、頭を使う=新しく学習することも重要です。
手の親指と他の指を交互に合わせたり離したりする親指体操などの手指訓練、積み木を使って立体を作る立体形合わせパズル、塗り絵や絵を描くなどの創作活動、簡単な四則計算や100マス計算(縦横に10個ずつ、マスのある左列と上列にそれぞれ0~9の数字が1つずつ書かれていて、それが交差するマスで足し算、引き算、掛け算、割り算をする計算トレーニング法)、文章を読んでから出題される質問に答える訓練など、さまざまな頭を使うトレーニングがあります。
また、歌を歌ったり楽器を演奏したり、音楽を鑑賞する音楽療法もあります。いずれも、脳に快適な刺激を与えて脳活動を増やし、脳を活性化させるのです。
これらの訓練には、楽しい要素、気持ちいい要素、会いたい人がいる要素を組み込めるかどうかが、認知機能の向上に影響を与えるので、戦略が必要です。