『ひとりでしにたい』キービジュアル
『ひとりでしにたい』/(c)NHK
綾瀬はるかさん主演のドラマ『ひとりでしにたい』(NHK総合、土曜午後10時~)。主人公の山口鳴海は39歳。愛猫と暮らし、推し活に打ち込み、1人暮らしを満喫していた。しかし、憧れていた独身の伯母が孤独死したことをきっかけに、「1人で死にたくない」とあせって婚活を始めるもののうまくいかない。方向転換した鳴海は、婚活ではなく終活を考え始める―。放送コラムニストの高堀冬彦氏が解説する。

39歳の独身女性が老後や死を考える

作家の故・井上ひさしさんはこんな名言を残した。

「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく、おもしろいことをまじめに(後略)」

『ひとりでしにたい』はこの言葉を地で行くドラマ。主人公の39歳の独身女性が急に老後や死を考えるようになり、あたふたとする姿を描く風刺劇である。

主人公の美術館学芸員・山口鳴海を演じるのは綾瀬はるか(40)。単身者用の分譲マンションでネコと一緒に暮らしている。趣味はアイドルの推し活。物語は鳴海の伯母が心筋梗塞で急逝するところから始まる。

『ひとりでしにたい』場面写真 鳴海とネコ
『ひとりでしにたい』/(c)NHK

伯母は山口光子(山口紗弥加)。父親の和夫(國村隼)の姉である。しかし、和夫とも母親の雅子(松坂慶子)とも何年も前から付き合いがなくなっていたため、鳴海も疎遠になっていた。

光子は生涯独身で1人暮らしだった。かつては大手企業に勤務し、華やかな暮らしを送っていたが、死亡時の自宅マンションはゴミ屋敷状態。読みかけの本が「幸せを呼ぶ習慣術」だったのが悲しかった。息を引き取ったのは浴槽。死後1週間が過ぎていたため、遺体の一部は汁状になっていた。