いよいよ親が要介護状態になった時、何よりも大切なのは適切に助けを求めること──。リハビリの専門家として病院に勤務し、プライベートでも長期にわたって介護をしてきた専門家・橋中今日子さんがコツを教えます(構成=古川美穂 イラスト=曽根愛)
じつはとても多い自覚なしの介護者
学生時代に父を病気で亡くしてから、私は重度身体障害の母、認知症の祖母、知的障害の弟の3人をひとりで21年間介護してきました。でも日々の出来事に対処するのに無我夢中で、自分のしていることが「介護」だと客観的に認識できたのは、ほんの8、9年前のことです。
いま、講演会などで参加者の方々にお話を伺うと、やはりすでに介護をしている状態でありながら、自覚がない方がとても多い。そして気付いた時には心身ともに疲れ果て泥沼のような状況に陥ってしまうのです。
介護は時期によって、(1)パニック期、(2)環境調整期、(3)生活期、(4)看取り期の4つに分類できます。通常は(1)から(3)を何度か繰り返してから、(4)へ移行していく。介護の平均期間は4年7ヵ月と言われます。しかし実際には、10年以上介護状態が続く方も少なくありません。
終わりが見えにくいため、がんばりすぎると介護者のほうが先にダウンしてしまう危険性があります。ですから少しでも楽な態勢を作るうえで、役に立つ助けの求め方、ちょっとしたコツなど、シチュエーション別にお話ししたいと思います。