(写真提供:Photo AC)
「小さくも強い赤ちゃんの世話を一身に担うことで、親の脳にどのような変化が起こるのかを科学者たちは数多く明らかにしてきた」と話すのは、ピュリッツアー賞を受賞したジャーナリストのチェルシー・コナボイさんです。妊娠と出産によって、親の脳にはどのような影響があるのでしょうか?今回は、チェルシーさんの著書『奇跡の母親脳』から、人類の脳と育児の謎に迫ったレポートを一部ご紹介します。

脳とホルモン

脳の全体的な構造が変化の余地を残していることは重要だ。神経活動は脳内の重要な中枢を中心に組織化され、コミュニケーションの効率を最大化する。同時に、繰り返される動作や知覚が毎回異なるニューロンの集合に関与するという点で分散的でもある。

神経科学者リサ・フェルドマン・バレットは脳の複雑さを航空路に例えている。ハブ空港や地域交通の管理を主とする空港などがあることで、リソースと選択肢が最大化され、ボストンからカイロへのルートが数多く存在するようなものだと。

脳は全体的な構造から個々のニューロンの大きさや機能に至るまで「経験」によって形作られる。脳には可塑性があり、解剖学的に柔軟だ。引っ越したり新しい趣味を始めたりすると学習を通じて変化する。脳の再配線は無意識的なレベルでも起こり、さらされる刺激やホルモンの変化でも推進される。

つまり、人生の進展そのものが脳の配線を変化させるのだ。塩性湿地の草や生態系のように複雑で常に変化し続けるシステムで、本質的に適応能力を備えている。