(写真提供:Photo AC)
「**は健康によい」「**を食べると痩せる」など、世の中には様々な健康情報が広く流布しており、何が正しい情報なのか分からないという方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、東京大学大学院総合文化研究科の坪井貴司教授、寺田新教授による共著『よく聞く健康知識、どうなってるの?』から、科学的根拠や理論に基づいた健康知識を一部ご紹介します。

コーヒーやエナジードリンクに含まれているもの

コーヒーやお茶、お酒、そしてたばこは、世界の三大嗜好品と呼ばれます。古くから、コーヒーやお茶の摂取によって、眠気がおさまったり、集中力が高まったりすることは経験的に知られていました。そのため、コーヒーやお茶に関する研究の多くは、主な成分であるカフェインの睡眠や覚醒、記憶力や運動能力への影響などについて焦点が当てられていました。

カフェインは、ドイツの化学者フリードリープ・フェルディナント・ルンゲによってコーヒーから単離されました。ちなみにコーヒーの有効成分を抽出してみるようにルンゲに進言したのは、ドイツの詩人ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテだったともいわれています。

カフェインは、コーヒー豆以外に茶葉(緑茶、ウーロン茶、紅茶)やカカオ豆に含まれています。またカフェインは苦いため、風味付けの食品添加物とともにエナジードリンクや栄養ドリンクに添加されています。さらに、風邪薬や酔い止め、頭痛薬や鎮咳去痰薬(咳を鎮め痰を喉から排出しやすくする薬)にも配合され、医薬品としても用いられています。

たとえば、粉から淹れたコーヒー100ミリリットル中には、60ミリグラムのカフェインが含まれています。同量の煎茶には20ミリグラム、紅茶には30ミリグラムのカフェインが含まれています。エナジードリンクや栄養ドリンク剤、眠気覚まし用飲料のカフェイン濃度には幅があり30─300ミリグラムとなっています。一方で、頭痛薬や鎮咳去痰薬には、製品によって異なりますが、1回の摂取量あたり80─100ミリグラム程度含まれています。