多くの企業では、新入社員に向けて「どのように(How)」仕事をするのかが細かく書かれた業務マニュアルが用意されています。しかし、帝国ホテルの教育システムを構築した経験を持つ大野加奈さんは、「『How to』だけを教えても、素晴らしいサービスを提供できる人は育たない」と語ります。そこで今回は、大野さんの著書『サービスを言語化する』から抜粋し、人材育成のヒントをご紹介します。
「おもてなし」の真髄
「一流のサービスパーソンは何が違うのか」
この問いに対する答えを探るため、私は長年にわたり多くの優れたサービスパーソンを観察してきました。帝国ホテルで働くベテランの先輩、そして他のハイクラスなホテルやレストランで出会った方々の振る舞いを細かく分析することで見えてきたのは、彼らに共通する思考プロセスと行動パターンです。
驚くべきことに、彼らはまるで同じ教科書を学んだかのように、似通った行動原理を持っていました。それは単なる偶然ではなく、長い年月をかけて磨かれた「おもてなし」の真髄とも言えるものです。
本記事では、一流のサービスパーソンがどのような思考と行動で顧客満足を創出しているのかを具体的に解説していきます。