(写真提供:Photo AC)
街なかで着物姿の人を見かけた際に、思わず目を引かれるような姿勢の美しさを感じたことがある方も多いのではないでしょうか。なぜ洋服ではなく、着物のときにだけそのような印象を与えるのでしょうか?山陰地方で呉服店「和想館」を営む、和と着物の専門家・池田訓之さんは、「着物は着るだけで自然と骨盤を正しい位置に導いてくれる“姿勢矯正具”のような存在」と語ります。着物がもたらす姿勢改善のメカニズムについて、池田さんに解説いただきました。※医療情報監修:大野原良昌さん(医学博士、母と子の長田産婦人科クリニック・副院長)

姿勢の悪化という現代病

現代社会において、スマホネックやテックネックといった言葉に代表される「姿勢の悪化」が深刻な問題として浮上しています。

そもそも姿勢の悪化の前提となる正しい姿勢とはどんな姿勢でしょうか?それは背骨に負担をかけない姿勢です。

首の骨が正常な位置にあるときにはスムーズに流れていた血液が、首の位置がずれると、血液の流れが滞り、それが全身の血行不良、冷えや不眠、さらには首の皮膚のたるみやシワ、姿勢の変化により内臓が圧迫されると胃腸などの内臓のトラブルにもつながります。

赤ちゃんのときには深い穏やかな呼吸法である腹式呼吸であったのが、浅い呼吸法である胸式呼吸に陥っている人が多いのも姿勢のくずれに一因があるといわれています。