スマホやパソコンが普及した現在では、手で文字を書く機会が減っています。そんななか、書道家の詠月さんは「書くことは祓い清めにもなる」とし、「つらいときも、悲しいときも、自分を癒したり律したり、心を整える手助けになる」と語ります。今回は、詠月さんの著書『「品のいい人」が大切にしている「和」の習慣』から一部を抜粋し、心と身体を整え、内面から輝くためのコツをご紹介します。
書道は墨を磨る工程があってこそ成り立つ
書道には、自分を励ましたり、律したり、癒やしたり、心を整える力があります。
落ち着いて座って墨を磨ることで、良い香りに包まれ、墨を磨る音によって雑念が払われ、心が整っていくのです。
書道は、墨を磨る工程があってこそ成り立つものです。
墨を磨りながら、これから書く文字と向き合い、精神を統一させる大切な工程を経てこそ、書道の良さをより深く感じることができるのだと思います。
だからこそ、ワークショップなどで時間がかぎられていたとしても、墨を磨る時間を省いたり、墨汁を使ったりはしません。
「お稽古」とは、必ず「準備」から始まるもの。
その準備を丁寧に行うことで、そのあとの「書く」という行為にも自然と心が向かっていくのです。