急速な勢いで社会にAIが浸透する今、「将来困らないように、あれこれ知識を身に付けておく」というこれまでの教育のあり方に限界が見え始めています。そんななか、ワンダーファイ株式会社 代表取締役・川島慶さんは、これまで1万人以上の子どもたちと関わってきた経験から、人生を切り拓き、自分らしく輝く力として「学ぶ力」を伸ばすことを勧めています。そこで今回は、川島さんの著書『自分の頭で考える子に育つ学ぶ力の伸ばし方』から一部を抜粋し、再編集してお届けします。
「学ぶことが楽しい!」「考えることが楽しい!」が本当に伸びる子を育てる
次のような場面に出会ったとき、みなさんはどう感じられるでしょうか。
(1)子どもが紙に描かれた迷路に、勝手に「ワープゾーン」を作って壁を通り抜けるように線を引いている。
(2)子どもに「1週間は何日?」と聞くと、「月、火、水、木、金、土、日、月だから8日!」と答えてきた。
(3)計算ドリルをといていた子どもが「ママ、3+4+7ってね、3と7を先に足すと10になるから、あとは4を足すだけだよ!」と、教えていないのに言ってきた。
(1)なら「ルールを守らなきゃダメでしょ!」と叱りたくなるかもしれません。(2)なら「違うでしょ、7日よ」と教えたくなることでしょう。
最後の(3)は、もしかしたら、「おお!」と驚かれる親御さんもいらっしゃるでしょう。
でも、実は、これらすべてに共通していることがあります。
それは、どの子どもも「自分なりに考えている」行動の表れとも言えるのです。
(1)の迷路にワープゾーンを作る子は、いわゆる通常の迷路としてのルール、作法にとらわれず、ゴールまでの道順を創造的に考えています。
(2)の1週間を8日と答える子は、一周するとはどういうことかを、自分なりに考えています。
(3)の子どもは、順番に計算するより、10になる数から計算したほうがラクだと、楽な計算方法を考えています。