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日本のメディア産業、ポップカルチャーの礎を築き、時にお上に目を付けられても面白さを追求し続けた人物“蔦重”こと蔦屋重三郎の生涯を描く大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK総合、日曜午後8時ほか)。ドラマが展開していく中、江戸時代の暮らしや社会について、あらためて関心が集まっています。一方、歴史研究者で東大史料編纂所教授・本郷和人先生がドラマをもとに深く解説するのが本連載。今回は「ある一揆」について。この連載を読めばドラマがさらに楽しくなること間違いなし!

老中・定信の怒りを買った春町は自死することに

先日のドラマでは、武士で戯作者の恋川春町<倉橋格>が、老中・松平定信の改革を揶揄敷する内容の黄表紙を刊行。それが定信当人の怒りを買ってしまいます。

その結果、春町は自ら命を絶つことに。

一方、この連載では<打ち壊し>について以前に少し触れました。そこで春町同様、幕府政治批判を行った人物の例を挙げながら、今回は代表的な<一揆>の一例をご紹介したいと思います。

具体的に解説するのは、郡上八幡の一揆。

9代将軍家重の時期、とくに宝暦年間(1754年~1758年)、美濃国郡上藩(現在の岐阜県郡上市)で大規模な百姓一揆が起きました。