101歳の長寿を全うした生活評論家、吉沢久子さんが綴った、毎日の小さな喜びを大切に、前向きに悔いの残らない時間を過ごす生き方。エッセイ集『101歳。ひとり暮らしの心得』(中央公論新社) から幸せな暮らし方の秘訣を紹介します。
<生きていることが楽しくなる秘訣>
未知の領域への好奇心を働かせ面白がる精神で
夫は晩年、「自分が老人になるなんてまったく考えていなかったから、歳をとって初めて出会う自分が面白くてたまらない」と言っていました。
老いの受け止め方はそれぞれです。性格も人によって違うでしょうから、衰えていくことを悲しみ、なんのために生きているのかと、鬱々とする方もいるかもしれません。
しかし、どうせなら、最後のときまで幸せに生きたいもの。そのためには「老い」という未知な領域への好奇心を働かせ、自分の老いさえも面白がる気持ちでいたほうが、日々楽しいと思うのです。

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この歳になっても、まだ初めての経験ができる。そう思うと、私は先が楽しみでなりません。
これからも自分の老いを観察し、「へぇ、人間ってこんなふうになるのね」と変化を面白がり、ゆくゆくは、「ほぉ、死とはこういうものなのか」と未知の世界を楽しみ、日々自分らしく生きていきたいと思います。
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