「高品質な服」と聞いて、欧米のハイブランドをイメージする方も多いのではないでしょうか。しかし、アパレル商社でデザイナー兼パタンナーを務めているリサさんは、「日本製の服にも、高品質で着心地のいいものがたくさんあるのです」と語ります。そこで今回は、リサさんの著書『なぜ日本製の服は着心地がいいのか』から一部を抜粋し、再編集してお届けします。
高い自由度と耐久性が魅力 進化し続ける合成皮革
ハイブランドでも合皮が選ばれる理由
ここ最近、合皮の進化が止まりません。
合皮は「合成皮革」の略で、本物の革(天然皮革)の質感や見た目を人工的に再現した素材です。ジャケットやコートなどのアイテムの素材として使われます。最近では、フェイクレザーという言い方のほうが一般的かもしれません。
私も年間で何着かパターンを担当することがありますが、ここ10年ほどはテクノロジーの進化により、昔の合皮と比べるといいものがたくさん出回るようになった印象です。
「合皮はすぐに劣化する」「加工した革が剥がれボロボロになるから嫌」というご意見をよくいただきますが、実は全部が全部、耐久性に問題があるわけではありません。合皮にもランクがあるからです。
ハイブランドで扱う合皮とファストファッションで扱う合皮とでは、質感や耐久性などに天と地ほどの差があります。良質な合皮は耐久性にも優れ、劣化スピードも緩やかです。また、ランクが低い合皮は本革と比べて耐久性や品質が低いものの、トップクラスの合皮では、今まで合皮では出せなかった、クオリティの高い合皮がつくられるようになっています。
たとえば、ライダースジャケットには肉厚でしっかりした合皮が、女性服にはより薄くしなやかな合皮がつくられるようになっています。体に馴染みがいい素材も開発されており、着心地も向上してきています。