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「介護をしている方。がんばりすぎていませんか――?」介護の現場で生活相談員として働くのぶさんは「介護する人を支えるために、ぼくたち介護職がいます」と語ります。介護現場での心温まるエピソードや、介護のコツをXで発信し、フォロワーは3.7万人を超えるのぶさん。そんなのぶさんが伝えたい<読むだけで心がラクになる>メッセージを集めた著書『読むだけで介護がラクになる本』より、一部を抜粋して紹介します。

ちゃんとやろうとする人ほど、しんどくなる

在宅介護をされているご家族とたくさん関わってきましたが、みなさん本当にがんばっておられます。

ご自分も家庭や仕事で忙しい中、介護をしているというだけでもすごいのに、「ちゃんと手をかけてあげたい」と真面目に介護に向き合われています。

けれども、「ちゃんとやろうとする人ほど、しんどくなる」のが、介護でもあります。

たとえばこんな日があるのではないでしょうか。

誰も見てなくても、ちゃんとお風呂に入れてあげたくて。
食べてくれないごはんを前に、むなしくなって。
わけもわからず怒る親を前に、静かに謝って。

夜中の2時にトイレの介助で起きて、もう一度寝ようとしても眠れず、今日の食事、手を抜いたことを後悔したり。
声を荒げてしまったこと、自己嫌悪したり……。
そのどれも、自分だけの戦い。

 

まずは一生懸命がんばっているご自分をほめてあげてください。

そして、こんな日こそ「できなかったこと」より「今日もやりきったこと」を数えてください。

・トイレに間に合った
・薬を忘れず飲ませた
・ひと口でもごはんを食べてもらえた
・イライラしても、手は出さなかった
・何より、今日も《ここにいた》

もうこれだけで、素晴らしい介護です。