在宅介護をがんばるご家族と関わらせていただく中で、「介護している家族にはもっと手厚い補助があっていいのに」と感じる場面が増えてきています。

通院のために仕事を休んだり、24時間目を離せない状況もあったりします。「介護のために仕事を辞めました」という方とお会いするたびに、切ない気持ちになります。

親の介護は日本の伝統?
家族だから当たり前?
介護をしない人は無責任?

そんな考え方は、もう時代遅れ。

介護は社会全体で支え合うべきであり、個人や家族だけに押し付けてはいけません。ぼくはそう、声を大にして言いたいです。

介護する人が自分を大切にしながら、無理のない形で介護を続けられる環境が必要。介護は家族だけでがんばるものではなく、社会全体で支え合うべきものです。そのために、ぼくたち介護職がいるのです。

 

「最近ヤバイかも?」と少しでも感じたら、迷わずに休んでください。

デイサービス連日利用でもいいし、数週間ショートステイを利用したって悪いことではありません。髪の毛が真っ白になる前に、介護サービスを頼ってください。もっともっと自分を大切にしてください。

「介護をしない」という選択肢も、正しい判断のひとつです。

非難されるべきではないし、責任逃れをしているなんてことは一切ありません。自分自身を守るためにも、介護する人にはその選択肢を持っていてほしいと思います。

 

※本稿は、『読むだけで介護がラクになる本』(のぶ:著/すばる舎)の一部を再編集したものです。

【関連記事】
認知症の人を落ち着かせる「達人」が使うテクニックとは?欠点を指摘しない、見下ろして話さない…。《しない》ことが不安や緊張を解きほぐす
「子どもに下の世話はさせたくない」と言っていた親の気が変わることも。それでも「家族の介護をやってはいけない」と介護のプロが断言する理由
介護を楽にする可能性のある<老健>とは?専門家「在宅介護に困ったら施設に入れることに罪悪感を持たないで。介護者の人生を優先してほしい」

読むだけで介護がラクになる本(のぶ:著/すばる舎)

介護をしている方。がんばりすぎていませんか──。
Xで介護のコツを発信し、フォロワー3.7万人。同業者だけでなく、家族介護をする人たちからも支持されるのぶさん。介護現場での心温まるエピソードもまじえながら、「読むだけで心がラクになる」メッセージを伝えます。毎日の介護の負担をぐっと減らす実践的なアドバイスも満載。