(マンガ・イラスト:介護士タカハシさん)
厚生労働省によると、認知症の患者は2025年に約700万人まで達するとされています。一方で、家族による介護が始まったとき、悩まされがちなのが認知症の人の「かたくなさ」です。頑固さや怒りが収まれば、ずっと介護がラクになるのに、と介護者が思うこともしばしば。しかし「かたくなになる理由や道理を理解して受けとめられれば、驚くほど落ち着いてくれる」と、デイサービス経営者・坂本さんはいいます。認知症の人の気持ちを逆なでせず、日々穏やかに過ごしてもらえるその接し方とは?

「いやな人」認定をされないために

認知症の人は、認知機能の不具合を抱え、日々の生活で不安や緊張、混乱を感じています。そんな中、こちらの接し方で、認知症の人をますますかたくなにさせていた……。それは逆に言うと、こちらが上手に接すれば、不安や緊張、混乱を増幅させることなく、心穏やかに落ち着いてもらえるということです。

実はプロの介護職員の中にも、認知症の人を怒らせやすい人がいます。一方で、「この人が対応すると、なぜかみな落ち着く」という達人もいます。

達人にコツを聞いてみると、「《問題解決》を急ぐと感情を逆なでしてしまう」と教えてもらいました。

言われてみれば、認知症の人を怒らせやすい職員は「早く落ち着かせよう」「間違った認識を訂正しよう」「理解させよう」「なんとかしてお風呂に連れて行こう」と、問題解決を急ぐ対応をしていることが多いように思えます。

解決を急ぐあまり、本人の不安や緊張を解きほぐすケアがなされていないのです。