所作から伝わること(写真はイメージ/写真提供:Photo AC)
国内のルイ・ヴィトンで販売員として活躍し、11年目には顧客数で全国1位を記録した土井美和さん。その接客スタイルは、目の前の商品だけでなく「お客様の未来」を見据えたものでした。「販売員は、商品を売る人ではなく、ブランドの世界観を伝える存在」。そう語る土井さんが、自身の経験をもとに、言葉遣いや身だしなみ、所作に込めた《接客の極意》を綴った著書『「自分」というブランドを売る 元ルイ・ヴィトン トップ販売員が大切にしてきたこと』から、一部を抜粋してお届けします。

一瞬の所作から「大切にされていること」は伝わる

接客中の所作も、先輩方からの指導でブラッシュアップされていました。

たとえば、お辞儀一つとっても、お辞儀の角度、お辞儀をする際の手の位置や重ね方、立ち姿も美しく見えるよう、姿勢は常に意識してきました。

また、バッグなどの商品を運ぶ際や、お客様がお買い上げされた商品が入ったショッパー(紙袋)を運ぶ際には、必ず高い位置で運びます。

まるで自分のもののように、ぶらんぶらんと低い位置で振りながら運んだりすることはありませんでした。

このような振る舞い一つでも、自分たちが扱う商品や、お客様がお求めになったものを大切にしていることが、感謝の気持ちとして伝わるはずです。

さらに、商品を指す際には、「これは」と人差し指で指さないよう学びました。

「こちらは」と四本指をきちんと揃えて示すことで、美しい所作となり、商品を大切にしていることが伝わります。