(写真提供:Photo AC)
ハーバード・ビジネススクールが行った調査によると、就職・転職の7割は「視野狭窄」が原因で失敗するのだそうです。サイエンスジャーナリストの鈴木祐さんは、「『好きなことを仕事にしよう』『給料の高い仕事を選ぼう』といった一般的なアドバイスは、実は科学的根拠に乏しく、むしろ不幸につながる可能性がある」と語り、研究データに基づいた科学的な適職選びを勧めています。そこで今回は、鈴木さんの著書『新版 科学的な適職』から一部を抜粋し、再編集してお届けします。

一流アスリートほど大事にするたった一つの習慣とは?

オリンピックの水泳で28個のメダルを獲得したマイケル・フェルプスは、試合前にいつも同じ行動を取ることで有名でした。レースの2時間前になると必ずストレッチで全身をほぐし、それからプールで45分のウォームアップを行ったあと、今度は本番までヒップホップを聴いて過ごすのです。

コーチのボブ・ボーマンは、これらの行動について「レース前のささいな行為が勝利の感覚を与えてくれる」と表現しています。ストレッチやウォームアップなどの行動を終えるたびにフェルプスは確実な達成感を得ることができ、そのおかげで自信を持ってレースに挑めたわけです。

このような「小さな達成」の重要性は、昔からスポーツの世界ではよく知られていました。

一流のアスリートほど「今週はフォームの改善を目指し、次の週は筋力アップに集中する」といったサブゴールを定め、1週間ごとに細かく達成感を積み上げていくケースが多かったからです。