100年を超える歴史を持ちながら常に進化し続ける「タカラヅカ」。そのなかで各組の生徒たちをまとめ、引っ張っていく存在が「組長」。史上最年少で月組の組長を務めた越乃リュウさんが、宝塚時代の思い出や学び、日常を綴ります。第112回はNHK『にっぽん百低山』で新潟・番屋山に登ったお話「人生は時々山道になる」です。
人生は時々山道になる
「登山」といって思い出すのは、小学校の遠足で登った遠い記憶。
「低山」と聞いて、「遠足の延長みたいなもの」と思ったのが、大きな間違いの始まりでした。
NHK「にっぽん百低山」という番組から出演のお話をいただき、その番組を失礼ながら知らなかった私は、吉田類さんと山に登ると聞いて、一瞬フリーズしました。
ん??
お酒を飲むではなく、山に登る??
私の中では完全に、吉田類さん=お酒の人という公式だったので、山と自然という単語が全く結びつきません。
けれど実際にお会いした類さんは、お酒が似合う人である前に、余白を知っている大人でした。穏やかで優しくて、会った瞬間に安心感を与えてくれるジェントルマンでした。
「大丈夫、ゆっくり登ればいいんです。山を楽しんでくださいね」
そんな言葉に背中を押され、私の初めての登山は始まりました。
