病気の妻にから揚げが食べたいと言う夫、家事をやらない妻……夫も妻も、なぜ、みすみす関係を悪化させるような言動をとってしまうのでしょうか? 家族問題カウンセラーの山脇由貴子さんは、自ら設立したカウンセリングオフィスでさまざまな夫婦のカウンセリングを行ってきた経験から、「実はそこには、夫婦それぞれが育ってきた家庭環境が影響している」と語ります。今回は、山脇さんの著書『夫婦はなぜ壊れるのか カウンセリングの現場で見た絶望と変化』から一部を抜粋し、再編集してお届けします。
夫からの相談は深刻なケースが多い
カウンセリングに来るのは妻の希望が多いですが、夫からの相談もあります。この場合、妻側が深刻な問題を抱えているケースが多く、夫は相当な覚悟で訪れます。妻を受け入れ続け、相当な努力と我慢をしてきた夫も少なくなく、「どうしてここまで誰にも相談せずに頑張って来られたのだろう」と感じる事もあります。
妻側の深刻な問題というのは、気分の落ち込みが激しく、時々死にたくなる、家事の大半を夫に押し付ける、夫に攻撃的、浪費・買い物依存、子どもに厳し過ぎる等々がありますが、その原因の多くは生い立ちが関係しています。
親から虐待を受けていた、あるいは虐待とまでは言えないけれど、親からの愛情を感じられなかったなど、とても苦しい体験があり、それが夫婦関係に悪影響を与えているのです。
中には、親との関係で抱えている苦しみを、今まで夫に話せなかったという妻もいます。「親の事を悪く言うなんて、性格が悪いと思われそうで」と言った妻もいました。