ある日、私が刺し子という刺繍をしていると、突然…(写真:stock.adobe.com)
時事問題から身のまわりのこと、『婦人公論』本誌記事への感想など、愛読者からのお手紙を紹介する「読者のひろば」。たくさんの記事が掲載される婦人公論のなかでも、人気の高いコーナーの一つです。今回ご紹介するのは茨城県の60代の方からのお便り。ある日刺し子をしていると、夫から「自分もやってみたい」と言われたそうで――。
老眼鏡と刺し子
夫と私は結婚して長く、普段から会話も多いほうだと思う。しかし最近になって、夫の新しい一面を発見した。
ある日、私が刺し子という刺繍をしていると、突然「それ、俺にも一回やらせてくれないか」と言ってきたのだ。私は「えっ、いいけど」と驚きつつも、布、糸、針を渡して、縫い方を教える。すると老眼鏡をかけながら、一針一針丁寧に縫い始めた。
最初は私と一緒に一つの作品を作っていたが、2作品目からは夫一人で完成させていく。夫は元来、手先が器用なので、私より上手に仕上げるのだった。その光景を見た子どもや孫たちは、「じいじ、やるねぇ」「認知症予防にいいんじゃない」とからかっている。
結婚して43年。夫婦二人だけの生活になってから10年が過ぎ、仕事を完全にリタイアしてからは2年が経った。この歳になって一緒に楽しめる趣味ができたのは、うれしいことのように思う。
今の目標は、夫の作品と私の作品をつなぎ合わせて、玄関の壁に飾ることだ。