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世界でもトップクラスの長寿国となった日本。しかし、「より良く生きる、自分らしく最期まで、と言いながら、老い方・死に方を知っている人は多くない」と語るのは、病院の臨床で15年以上働く看護師の高島亜沙美さん。そんな現役看護師の高島さんが教える、老いと死のプロセスと終末期の現実を綴った『人生の終わり方を考えよう 現役看護師が伝える老いと死のプロセス』より、一部を抜粋して紹介します。

在宅医療で終末期を迎えることの難しさ

終末期医療や緩和ケアというと、在宅医療を想像する方も多いでしょう。メディアで取り上げられる事例も、ほぼほぼ在宅。そのほうが、個人情報を気にせずカメラを回しやすいからでしょうか。

ですが、死亡場所の分布でいうと自宅が17.4%、病院が64.5%となっています(令和4年における人口動態統計より)。高度経済成長期以前は自宅で亡くなる方のほうが多かったのですが、今では医療機関で亡くなる方が大多数となっています。

一番の理由は、患者さん本人が感じる安心感だと思われます。病院だとナースコールを押して、看護師が来るまで大体10秒から30秒。在宅だと緊急コールを押してから実際に看護師が来るまで30分前後かかります。

すぐに来てくれるかどうかは、病気を抱える患者さんにとって、とてもとても優先順位の高い事項になります。誰かがそばにいてくれることの効能って、計り知れないんです。医療算定にも看護必要度にも計上されませんが。

これからAIがますます発展していっても、患者さんが看護師という生身の人間を求めることはあまり変わらないような気もしています。