あのドラマのシーンが叶ったような気分だった…(写真:stock.adobe.com)
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テレビドラマで感じる人生

昔からテレビドラマを見て、自分がもしこうだったらと想像することがある。ひとりっ子だったら、三姉妹だったら、独身だったら……と、《たられば》ばかりだが。

あるドラマで、短大時代の友人たちが集まって楽しくおしゃべりしているシーンがあり、うらやましく思ったものだ。私は関西の学校を卒業後、地元の九州に帰ったので、友人たちと会うことはなかなかできなかった。

だが、転勤族の夫と結婚し、10年後に関西に住むことになり、友人とまた会えるように。あのドラマのシーンが叶ったような気分だった。その後、再び夫が九州に転勤になる。友人3人がお別れ会を開いてくれ、今度みんなで会えるのはいつだろうかと、しみじみとした気分になった。

転勤先は同じ九州でも私の地元と風土が違い、子育てにも苦労した。つらい思いをするたび友人たちのことを思い出す。そんなときに見た中村雅俊さん主演のドラマのセリフが心に刺さった。「忙しくなるなあ、また会おうな、生きている限り」。

そうだ、生きている限り、また会えるのだ。疲れていた私に希望を与えてくれたセリフであった。

以後、何度か家族で関西に旅行に行ったが、そのたびに近くに住む友人と会うように。そして22年後、あの日お別れ会を開いてくれた友人たちと、揃って会うことができた。もう全員還暦を超えている。

大した話題がなくても、同じ場所にいて同じ空気を吸えるだけで幸せを感じた。次にみんなで会えるのはいつだろう。神様だけが知っていることである。

私は今日も人生にヒントを与えてくれるセリフを探して、テレビドラマを見ている。


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