(写真:Adobe photo stock)
なんとなく気分が晴れない。夜、理由もなく不安になる。体の不調は病院で相談できても、「こころの不調」は後回しにしていませんか? 内科医であり心理カウンセラーでもあるDr.野上は、日々の診療のなかで“心と体は切り離せない”と実感してきました。本連載では、がんばりすぎてしまう大人世代に向けて、今日からできるやさしいメンタルケアをお届けします。
「心身の不調を抱える人」に見られる共通の傾向
「愚痴ばかり言ってはいけない」
「悪口を言う人は心が未熟だ」
私たちは幼い頃から、そんな価値観を繰り返し刷り込まれてきました。
特に女性は、家庭でも職場でも「場の空気を乱さない存在」であることを求められがちです。つらくても笑顔でいる、我慢強く振る舞う、感情を表に出さない。それが「大人の女性」「できる人」だと評価される文化が、今も根強く残っています。
しかし医療の現場に立っていると、ある傾向がはっきり見えてきます。それは、心身の不調を抱える人ほど、「愚痴を言わない」「弱音を吐かない」「本音を語らない」傾向が強いという事実です。
感情を抑え込むことは、本当に美徳なのでしょうか。そして、それは心と体にとって安全なのでしょうか。
●子育てが一段落した頃から、理由の分からない疲れや虚しさを感じるようになった
●夫や職場への小さな不満を飲み込み続けてきた
●親の介護、更年期、仕事の立場の変化などで、感情の波が大きくなった
こうした声は、決して特別なものではありません。人生の折り返し地点に差しかかる時期は、役割や人間関係が変わり、感情が揺れやすくなるタイミングでもあります。
