妖怪にまつわる伝承は全国に数多く存在しますが、妖怪愛好家のライター・宮本幸枝さんは、「いつでも私たち人間の隣にいた『妖怪』を探ることは、過去から現代まで地続きになっている人々の営みを振り返ることでもある」と話します。今回は、そんな宮本さんの著書『ムー特別編集 図説 日本の妖怪百科』より、「天狗」をご紹介します。
神の力を宿す山の怪 天狗
河童と並び、日本のもっともメジャーな妖怪として一般に認知されているのが「天狗」である。
“山の神”のイメージも強く、山で起こるさまざまな怪異の多くは、天狗の仕業であると考えられた。
たとえば「天狗倒し」。これは、山中で木の倒れる音が聞こえ、様子を見にいってみると、何ごともないというものだ。
ほかには、だれもいないところで急に小石や砂が降ってくるという「天狗つぶて」や、子どもが山中で行方不明になり、戻ってくると天狗に会った話をするという「天狗隠し」などがある。